▲写真:ベツレヘム大学で日本人参加者と
私がイスラエル・パレスチナスタディーツアーに申し込んだ理由は、他のみんなと比べて立派なものでもなんでもなく、ただ「なんとなく」でした。留学中にたまたまこのツアーについて知る機会があり、せっかくヨーロッパにいるのだから行ってみようかな〜という軽い気持ちでした。
他のメンバーとは違い、直接テルアビブ集合だったためすべてのものが新鮮でかつ少し怖かったです。飛行機から降りて5秒後に「なんのためにイスラエルに来たのか」と質問攻めにされたのは忘れることのない思い出です。しかし、このツアー中、怖かったと感じたのはこの場面だけでした。
ラマッラでのホストファミリーは若い夫婦でした。
初めて顔を合わせた時、私たちが何の目的でパレスチナに来たのか彼らはよく理解してくれていたため、パレスチナ人がいかに苦しんでいるか、どんな生活をしているか、について詳しく話してくれました。生まれた場所によって今後の人生で行ける場所が限られていること(青いパスと緑のパス)、毎日近くで人が殺されているのが日常だということ(イスラエル兵とチェックポイント)、宗教のこと(キリスト・ユダヤ・イスラム)。
実際に経験している人から聞く話には大変重みがありました。
対照的だったのはテルアビブのホストファミリーです。かわいい子どもが2人いるすごく幸せそうな家族でした。彼らはあまりイスラエル・パレスチナの問題について話そうとしてくれませんでした。それよりも、仕事・日本のこと・テルアビブのことなどが多かったです。それが私に、現実に向き合っているパレスチナ人、向き合ってないイスラエル人という印象を与えました。
だからと言って、どちらが悪くてどちらが良いと言うわけではありません。イスラエルの人々は、テロや衝突でこの問題に関わるとは言え、日常的な生活は私たちとさほど変わりませんでした。
そのためどこかよそ事のように感じてしまうのかな、と気づくことができました。
私自身ももっと深く聞けばよかったのになぜ聞けなかったのだろうと思います。それは、パレスチナ人から話を聞いた後に行ったせいで、イスラエル=いじめっ子という印象がついたせいだと思います。それで、触れてはいけない話題なのかなと無意識的に感じてしまいました。
だけど、それは正しくありません。
そういった偏見を取ることがこの問題を解決する糸口になると強く感じました。
行った後に取り除くことができた「偏見」はたくさんあります。
まず、この場所は思っているよりも危険ではありません。観光業が主要産業になっているくらい、ヨーロッパからの観光客が多かったです。
10日間では見足りないくらいの歴史が詰まっている場所でした。
また、人々が本当に優しいです。私の質問攻めに丁寧に答えてくれたり、たくさんの場所に連れて行ってくれたり、美味しいご飯を永遠に食べさせてくれたり、と本当に至れり尽くせりでした。日本人が珍しいのか、そこら辺の人も声を掛けてくれます。
そのため、彼らはかわいそうではありません。むしろすごく生き生きとしています。限られた生活の中で、人との繋がりを強固にしながら、幸せな生活をしていました。
正直言って私は、中東問題解決のために自分の将来を従事するつもりはありません。
ただ、将来の仕事が中東問題解につながっていたらそれはすごく素晴らしいことだ、繋がっていてほしい、何が私にできるだろう、とこのツアーに参加したおかげで強く思うことができました。
それほど、私はこの国に魅了されました。
このツアーに参加する前、ある人に「これらの国に遊び半分で行くのは良くない。危ないところだし観光目的で行くのはこれらの国の人々に失礼だ」と言われたことがあります。
ツアー参加後の私が自信を持って言えるのは、それは違うということです。
まず、どんな目的でもいいのでその国に足を運ばないと何も始まりません。
ただの興味がその国を深く知りたい欲求に変わっていったのは、私の現在の考え方また未来の行動に大きな影響を与えました。なので、まだ迷ってる人はとりあえず行ってみてください◎
最後に、イスラエル人・パレスチナ人だけではなく、日本人メンバーも私にとっていい刺激を与えてくれました。
1,2年生のうちから自分の専門が決まっている人、3,4年生で専門を極めている人。
そのような学生と友達になり話を聞くのは、今までふわふわとなんとなく経済学部にいた私にとって新鮮でした。
いい友達ができました、ありがとう☻また日本で会おうね。
(文 田中 紫穂/
2018年スタディー・ツアー参加者、大学3年生)