▲写真:ベツレヘムにある分離の壁
今回の参加者は大半が学生だったが、私は社会人としてスタディーツアーに参加して大変良かったと感じている。
自分がイスラエルとパレスチナへ行くことは、今まで想像もしていなかった。
しかし、難民支援のために国連で働いている友人がいるので、自分もいつか何かしら世界の問題に触れたいと思っていた。それが今回のツアーに参加した理由である。
この地に自分の足を運んでみて、自分の目で見る事、自分の耳で聞く事がいかに重要かをと改めて感じた。
今回は、エルサレム、ベツレヘム、テルアビブを訪問した。
ベツレヘムで衝撃的だったのは、クレーシュ「飼い葉桶乳児院」と「聴覚障害児の学校」(どちらもキリスト系)の訪問だった。
改めてパレスチナあるいはアラブ社会の特殊性と、パレスチナ社会の狭さを実感したからだ。
アラブの世界では女性の婚姻関係以外での妊娠は「家族の名誉を汚す」と見なされ、親族がその女性を殺害することになっている。それを名誉殺人と呼ぶ。
クレーシュにいる名誉殺人を免れた子どもたちは生まれてきた環境のせいか障害者が多かった。罪の無い子どもたちを目の前にして胸が苦しくなった。
こういった事が起きてしまうのは、閉ざされているパレスチナ社会だからこそではないだろうか。
一方、イスラエル側のテルアビブではとても裕福なご家庭にホームステイをさせていただいた。
テルアビブの街の雰囲気はエルサレムやベツレヘムのような雰囲気ではなく、高層ビルが立ち並び、かなり現代的だった。人々は普通の都会生活を送っており、今は戦争が遠い昔の様になってきているのだと感じてしまった。
話は変わるが、このツアーから帰国後(3月20日)に発表された世界の幸福度ランキングでは、イスラエル11位、パレスチナ自治区110位、日本58位だった。
パレスチナ自治区の人々の生活がいかに困難であるかが分かる。
さらに日本の順位が意外と低いことが判明し、驚いた。幸福とは何か、帰ってきてからも日々考えさせられている。
このツアーで得た体験は、これからの人生の中で大事にしていきたい。
(文 鏡原 えり/
2019年スタディー・ツアー参加者、社会人)