4月16日現在、イスラエルでは感染者は12500人(ヨルダン川西岸地区では316人、ガザでは13人)を越え、亡くなった方は140人(ヨルダン川西岸地区では2人)です。患者の年齢層は20歳から98歳にわたっています。
イスラエルでは、3月14日からできるだけ、ネタニヤフ首相が呼び掛けており、現在では特定の職業を除き、原則、自宅で働くことが求められています。失業率は30%近くまで上がり、なんとか職を失わずにすんだ人も無給休暇を取らされているケースも多く見られます。このような状況の中でイスラエル政府は、ある一定の条件を満たした人に対し、本来もらうべき給料の60%分を補助する予定です。また、各家庭に対し18歳以下の子ども4名まで一人あたり500シェケル(15,000円)の補助金を出すようです。
3月中旬からイスラエルでは、幼稚園から大学まですべての教育機関を閉鎖したため、現在ではすべての授業がオンラインで実施されています。今後、イスラエル政府は国が運営する公的な試験の実施について検討する予定です。
イスラエル政府は他の国に比べると、比較的早い段階で外国人の入国を制限したり、国内の移動を制限してきました。しかし、感染者数が増え続けため、感染状況を分析してみた結果、なんと、イスラエルのユダヤ教超正統派市民の間で新型コロナウイルスへの感染が拡大していることが分かったのです。彼らは敬虔なユダヤ教徒のため、テレビやインターネットがない生活を送っており、情報は口コミで伝わってきます。ネタニヤフ首相がテレビで、どんなに厳しく行動指針を発信しても、彼らにはあまり伝わっていなかったのです。それに気が付いたイスラエル政府は移動の制限をさらに厳しくし、4月8日から1週間にわたる過ぎ越しの祭りに向けて、厳重な措置を取っています。過ぎ越しの祭りはユダヤ教三大祭りの1つで、エジプトの地で奴隷になっていたイスラエルの民が、モーゼの先導でパレスチナの地に脱出した出来事を記念します。ユダヤ人にとっては、本来であれば家族が集まって一緒に食事をする、非常に大切なお祭りですが、それは、新型コロナウイルスの感染を拡大させる、非常に危険な状況を作り出してしまいます。そこで、イスラエル政府は以下のような方針を打ち出しました(在イスラエル日本大使館からのお知らせから引用)。
・4月7日19時から10日朝6時までは、都市間の移動を禁止。同じ居住地区内での食料品の調達、生活に不可欠なサービスの利用は可能。
・4月7日20時より12日朝8時までの間、全ての公共交通機関の運行を停止。
・4月8日15時から翌9日朝7時までは、食料品調達のための外出も禁止。
このように一時的に一切の外出を禁じたイスラエルでは、Zoom(オンライン会議システム)を使って家族の顔を見ながらお祝いの食事をした家庭も多かったそうです。
(文 ヤクーブ・ガザウィ/現地スタッフ)
(翻訳 池上遥)
(写真:The Times of Israel)