参加したスタディー・ツアーは、私にとって、紛争に苦しむ人々と向き合う旅であったが、同時に自分のエゴイズムと向き合う旅でもあった。
最初は、紛争の中に生きる人々の困難な状況や、愛する人が犠牲になり傷づけられた人々の心に触れても、私は無感動であった。私にとって所詮それは他人事であり、同情の“ふり”をしたところで偽善にすぎない。自分に嘘はつけないので、ツアー中の分かちあいでも、私はたびたび、自分の“冷酷な”心をさらけだした。
しかし日が経つにつれ、私の心や考え方が変わってきた。その土地に暮らす人々と共に同じ時を過ごして、心と心を接することができたからではないかと思う。とくに子どもたちの明るく生き生きとしていた姿には胸を打たれた。いつしか私は子どもたちの将来や、その地の未来までをも考えるようになっていた。
人は誰しもエゴイズムを持っている。多くの人はそれを包み隠して生きているだろう。私が敢えて自分をさらけ出しても、現地の人は私を温かく受けとめてくれた。国や宗教や主義主張を超えて、彼らの気持ちに少しでも寄り添い、心を通わせられたことはとても嬉しい。心と心の繋がりを深めることができたと思う。
(文 梶原 裕史/2016年スタディ・ツアー参加者)