▲写真1
ヤクーブからの近況報告第二弾では、パレスチナの状況について写真と共にご紹介します。
4月8日現在、パレスチナ(西岸・ガザ合わせて)では新たに2名の感染者が出て、計263名が新型コロナウイルスに感染しています。263名のうち、44名の感染者が18歳以下の子どもで、いずれも家庭内感染と言われています。また、8日現在で44名が感染から回復し、そのうち36名が西岸に住んでいる人で、8名がガザに住んでいる人です。
▼イスラエルに出稼ぎに行っているパレスチナ労働者の状況
西岸に住むパレスチナ人の中には、毎日、検問所を超え、イスラエルに出稼ぎに行く人がいます。イスラエルとパレスチナの感染者数を比較すると、イスラエルの方が圧倒的に新型コロナウイルスに感染している人数が多いため、パレスチナ政府は、このようなイスラエルに出稼ぎに行くパレスチナ人がウイルスを西岸に持ち込むのではないかと警戒しています。現在、イスラエル政府とパレスチナ政府間の取り決めにより、イスラエルでそのまま働き続けたい場合は、イスラエル政府が住居を一時的にパレスチナ人に用意することになっており、原則、出稼ぎに行っているパレスチナ人は、西岸には戻れないようになっています。もし何らかの理由で西岸に戻る場合は、写真1・2のように「イスラエルから戻った」ということが一目でわかるように、指にマークを付けられ、14日間の自宅待機が命じられています。
▼このように大変な状況の中で、助け合いの精神を忘れないパレスチナ人
3月5日、ギリシャ人観光客を経由して、ベツレヘムに住むパレスチナ人がはじめて新型コロナウイルスに感染したことが確認され、同日、パレスチナ政府は西岸において緊急事態宣言を発令しました。緊急事態宣言により、西岸地域の学校、モスク、教会などは全て閉鎖されました。また、3月7日には感染者数が増えるベツレヘムのみ都市封鎖をしました。銀行へ行ったり、食料品を買ったりなど、生命の維持に必要な外出は認められていますが、街では人の姿をほとんど見かけなくなりました。そのような大変な状況ではありますが、助け合いの精神を忘れないのがパレスチナ人。写真3には、アラビア語で「どうぞご自由に野菜を持っていってください」と書かれた張り紙の下に野菜が置いてあるのが写っています。新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなっているパレスチナ人のために誰かが無料で野菜を提供しているのです。
▼パレスチナにおける最年少の感染者
写真4に写っているのは、パレスチナにおける最年少の感染者です。こんなに小さい赤ちゃんも新型コロナウイルスに苦しめられています。
▼銀行は大混雑
連日、銀行は大混雑しており、写真5には銀行の入口の外まで順番を待っている人々が写っています。また、写真6はベツレヘムの様子で、人と人との距離を2メートル以上空けるという規則に従って、順番を待つ人たちは一定の距離を保って並んでいます。
▼学校の授業はオンラインで
全ての学校において授業はオンラインのみに規制されています。5月半ばに学校が再開されるという噂がありますが、本当に実現するかは定かではありません。オンラインでの授業の実施はまだ課題も多く、学校も生徒も試行錯誤しながら授業を進めています。
▼都市封鎖されているベツレヘムの経済的損失
西岸地域の中でも都市封鎖されているベツレヘムの経済的打撃はかなり深刻です。というのも、ベツレヘムは観光業で生計を立てている人が多いため、観光客が立ち入ることができない今、収入源を失った多くのパレスチナ人たちが経済的に苦しい状況に置かれています。
(文 ヤクーブ・ガザウィ/現地スタッフ)
(翻訳 池上遥)
(写真出所:エルサレムポスト、ハアレツ)