▲写真:8月5日東京駅で
長野県での文化交流(8月5日~12日)
8月5日、イスラエル・パレスチナの10人の若者たちが、リーダーとともに羽田空港に到着した。長旅の疲れも見せず、憧れの日本に来た喜びと期待で彼らの表情は輝いている。実は今回、出発まではらはらの連続だった。イスラエル治安当局からもらうはずのベツレヘムからの参加者のテルアビブ空港使用許可が出発前夜になっても届かなかったのだ。急遽イブラヒム神父に連絡し、夜遅くまで掛け合ってもらって飛行機の出発に間に合わせることができた。
さて東京駅で、日本の参加者およびスタッフが合流し、新幹線で長野へと出発した。宿泊所は善光寺玄証院。住職の福島貴和師は当NPOの理事でもあり、この度の長野でのプログラム作りと実施に全力で関わっていただいた。
20歳から25歳までの若者たち。パレスチナ人4名、イスラエル人4名、イスラエル国籍のアラブ人1名、日本人3名。スタッフ5名を加えて総勢17名の共同生活が始まった。文化も習慣も異なる日本で、しかもお寺の宿坊で、畳の部屋に布団を敷いての雑魚寝生活。慣れない食事や共同生活の規則など、戸惑うことはいろいろあっただろう。宗教や習慣の違いを超えて協力し合う生活をとおして、「平和共存」は可能だということを肌で感じることができたのではないだろうか。
イベントで披露する合唱とダンスの厳しい練習。中には経験者もいるが大半は全くの素人だ。にもかかわらずみんなで助け合いながら挑戦した。なじみのない歌やダンスは大変だったが、若者たちは相手をありのままに受け入れて、ハーモニーをつくりダンスの表現に取り組んだ。
日本の文化や自然を味わい、人の心の温かさに触れる活動ができたのは多くのボランティアの方々のおかげだ。浴衣姿で善光寺の「びんずる祭り」に参加、飯綱高原で大人も子どもも一緒にイワナ釣りとバーベキューを楽しんだ遠足、善光寺早朝のお勤めや禅をとおしての仏教体験などなど。
ホームステイ先での家庭生活、老人ホームのお年寄りたちとのひととき、福祉センターでの長野伝統料理「おやき」の実習など、たくさんの市民と触れあうことができた。
11日に行われたイベント「平和の架け橋」国際交流の集いでは、80人以上の参加があった。若者たちによる歌とダンスに加えて、イスラエル・パレスチナの手作り料理も味わっていただいた。さらに地元の合唱団「カント・キアラ」やゴスペルグループ、ハンドベルグループなどの演奏も加わり、ささやかな「国際文化交流」の催しができた。
長野での交流活動につづき、JICA東京国際センターで対話と分かち合いを行い、彼らなりの情報発信に取り組む。
続報は「オリーブの木」次号でお伝えし、プロジェクトの総括は「報告書」にまとめる予定。(8月14日速報)
(文 井上 弘子)